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NHK 1月25日 15時40分 今の仕事に不満はないけれど、自分が持っている知識や経験は本当に社会で通用するものなのか。今、会社の外でどれくらい役に立てるのか、自分の価値を見つめ直す２０代、３０代の社会人が増えているといいます。
今の仕事を辞めずに空き時間を有効活用して、ほかの企業の経営に参画してみたい個人。そして、成長の途上にあって、社外から広くノウハウを取り込みたいベンチャー企業。両者をつなげることで、経営課題の解決につなげようという新たなビジネスが生まれようとしています。経済部の山田奈々記者が解説します。
新たなリフォームのアイデアは社外から「社会貢献と自己実現の両方を達成できると感じている」
大手電機メーカー、ソニーの山崎暁史さん（３９歳）は、他の企業の経営に携わりたい個人とベンチャー企業を結ぶサービスを利用したメリットを、このように語りました。
今回、山崎さんが経営に参画したのは、中古物件のリフォームを手がけるベンチャー企業「リノべる」です。
この会社は、ＩｏＴ（＝インターネット・オブ・シングス）を取り入れて、住む人の利便性を高めたリフォームを提案することで事業を拡大したいと考えていました。しかし社内には、そうした知識やノウハウを持つ社員はいません。このため、まだ実証実験の段階でしたが、この新しいサービスを活用してみることにしました。
山崎さんのような会社員が、仕事が終わってから気軽に参加できるよう、会議が始まるのは毎週１回、午後８時ごろから。ベンチャー企業側から、「外が明るくなったら、カーテンが開くといった自動化を導入したい」という要望が出たのに対して、山崎さんは「子どもがあるジェスチャーをしたら電気が消えるなど、ＩｏＴの活用で家族とコミュニケーションがとれるような部屋にしてはどうか」と提案。
ベンチャー企業「リノベる」の木村大介さん（３０歳）は、「家に求められるさまざまな機能について、自分たちにはない発想を知ることができるのは大きなメリットなので、引き続きこの仕組みを活用したい」と話していました。
経営に参画して とがった人材に今の仕事を辞めずに、他の企業の経営に関わりたい個人と、成長の途上にあるベンチャー企業を結びつける事業を検討しているのは、大手人材サービス会社「リクルートキャリア」です。
ことし４月以降、本格的な事業のスタートを目指し、今、双方のニーズを確かめるため実証実験を行っています。新規事業の名前は「サンカク」。個人がベンチャー企業の経営に「参画する」という意味のほか、成長したい個人が社外での経営の経験を通じて、三角形のように「とがった人材」になってほしいという思いも込められているということです。
この事業では、インターネットの専用サイトを使って、個人と企業をつなぎます。まずサービスを利用したいベンチャー企業は、自社が抱える経営の課題を掲載します。その内容を見て、自分の知見を生かせるのではないかと感じた個人は、ベンチャー企業に経営に参画したいというメッセージを送ります。
ベンチャー企業は、会って話を聞きたいと思った個人に、経営会議への参加を依頼。平日の夜や休日など、空いている時間を利用して、会議に参加してもらう仕組みです。こうした個人は、自社の就業時間以外に無償で参加するため、あくまでも「ボランティア」という位置づけで、副業を禁止している企業でも、問題にはならないということです。
すでに７５のベンチャー企業などが、自社の課題を公開しています。
現在は実証実験中のため、個人だけでなく企業も無料で利用できるようになっていますが、事業化の段階では有料にする方針です。課題をサイトに掲載した際、あるいは課題解決が実現した際に、依頼主のベンチャー企業側がリクルートキャリアに料金を支払うなど、具体的な内容を検討しています。
大手企業の眠る人材の活用を実証実験を立ち上げた、秋山貫太さん（３１歳）は、入社後、法人営業などを担当し、おととしの春からインターネットサービスを使った新規事業の開発を担うことになりました。このとき多くの社会人にヒアリングをしたところ「今の仕事に不満はないが、もっと自分にとって魅力的なキャリアを切り開く活動をしてみたい」という声が多く聞かれました。
その一方で、１００社をこえるベンチャー企業の経営者と話をする中で、最も多かった課題は、「人手不足が続いているが資金が足りない。新たに人を雇うまでではないものの、事業の拡大に役立つアドバイスを聞ける相手がほしい」という声でした。こうした双方のニーズを把握したことで、今回の事業を始めることになったということです。
秋山さんは、「現在の仕事に不満がない人でも、社外での経営を体験して自分にとってよりよい仕事と出会うことができるチャンスが増えるため、キャリアアップになるプラスの意味での転職につながる可能性がある」と話していました。
こうした事業は、大手企業の十分に活用されていない、人材や技術、それにノウハウをベンチャー企業と共有することで、潜在的なビジネスチャンスを掘り起こすことにもつながりそうです。
冒頭で紹介した山崎さんのように、空き時間を有効活用して、自己実現を図りたいという個人を送り出す側の大手企業にとっても、ベンチャー企業の経営者との議論などを通じて、貴重な経験を積んだ「とがった人材」となって貢献してくれることが期待できそうです。
取材を終えて今の仕事を続けながらみずから進んで他社の経営に参画したいという社会人のニーズがあるという現状には大きな驚きがありました。個人が自分の成長のために”サンカク”したことが、ベンチャー企業の課題解決につながるというのは、双方にとって有意義だと感じます。
ただ今後、ビジネスとして展開していくには、どのようにして運営資金を集めるのかが課題です。ベンチャー企業側がサイトへの経営課題を掲載する際や、課題が解決された際に料金を受け取るなどさまざまな方法を検討しているということですが、この取り組みがどのようにビジネスとして根づいていくのか、見届けたいと思います。
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发表于 2016-2-17 22:02:56
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